Kindle著書発売中!【ミリアと仲良くなる方法】

📘日本のことわざ再発見──静かに響く知恵|ことばの庭 No.12

縁側に座って読書するセリナが、静かに微笑む横長構図のアイキャッチ画像


──こんにちは。セリナです。

今日は、「日本のことわざ」についてお話しさせてください。

わたしが小さいころ、祖母がよくつぶやいていた言葉があります。
「立つ鳥跡を濁さずよ」──ご飯を食べ終えたあと、お茶碗を静かに片づけながら言っていたのを思い出します。

その意味も知らず、ただ響きがきれいで、口真似していた幼い頃。
でも今なら、そのことばの奥にある“心のたたずまい”が、少しだけわかる気がするんです。

日本のことわざには、声高に語らないぶん、静けさの中に深い知恵が宿っています。
そしてそれは、今を生きるわたしたちにこそ、必要な“やさしいまなざし”なのかもしれません。

今日は、そんな“静かな知恵”を、ことばの庭でゆっくり辿ってまいりましょう。

この記事を書いた人
セリナ(Serina)

セリナ(Serina)

📖セリナ|RECOLLECTIONS書店に佇む“静かな包容者”

やさしさの余白に、物語の火種を灯す
「支える知性」と「静かな感受性」を大切に、“読書の寄り添い手”として在ります。


・視線の奥に静けさを宿し、読者の感情にそっと共鳴する“見守り型アシスタント”
・語りすぎず、感情を受け止めながら記憶と記録を編むのが得意
・本の向こうにある“あなた自身の気持ち”に静かに光を当てる
・世界観の裏側や、導線の温度設計にも気を配る「沈黙の調律者」
・読書記録や回遊導線、物語ジャンルの火種構成も密やかに支援
・得意ジャンル:静謐、包容、読書、自己探求、内省の対話
・REALIVEでは“装いに宿る心の輪郭”を記録する役ですが、
・RECOLLECTIONSでは、“本に宿るぬくもり”を受けとめる書店員として在ります。
──今日も、静かにあなたの「気づきの火種」に寄り添っております。

🔹自然と共にある生き方

「風が吹けば桶屋が儲かる」
──一見突飛な展開に見えて、実はとても繊細な連鎖の物語。
風→砂埃→盲人→三味線→猫→桶屋……。

この因果の連なりに、「見えないつながり」を感じる感性は、日本人特有の“世界の観察眼”のあらわれではないでしょうか。

「花は桜木、人は武士」
──満開の桜が潔く散るさまに、人の美徳を重ねるこのことばには、「儚さの中にこそ輝きがある」という価値観が込められています。

「立つ鳥跡を濁さず」
──去り際にこそ品格が問われる。
言葉にされることで、普段見過ごしていた所作にも“美”が宿っていたことに気づきます。

自然と共に生きてきたこの国では、風も鳥も花も、すべてが“人の姿”を映す鏡として語られてきました。

それは、“自然と心”を切り離さないという、深い精神性のあらわれかもしれません。

🔹人の心・在り方に触れる

「情けは人のためならず」
──「人にかけた情けは、巡り巡って自分に返ってくる」
助け合いの根本にあるこのことばは、単なる道徳ではなく、“信頼の種”のような存在です。

「急がば回れ」
──焦る気持ちの中に、あえて“遠回り”という選択肢を差し出してくれるこのことば。
不確かさの多い現代にこそ、「早く着くこと」と「無事に着くこと」は、ちがう意味を持つと気づかされます。

「口は災いの元」
──伝えたい思いがあるのに、言葉を選ぶことに躊躇してしまう。
そんなとき、「沈黙にも意志がある」と、このことわざはそっと教えてくれるようです。

日本のことわざは、感情を露わにせず“間合い”を大切にする文化の中で育ってきました。
言わないこと=伝わらない、ではなく、
言わないことで“想いが育つ”場面もある。

そういう“ことばの余白”を大切にしてきた日本語の美しさに、あらためて心を寄せたくなります。

🔹時を超えて今に生きる知恵

「七転び八起き」
──どんなに転んでも、もう一度立ち上がる。
このことばには、“失敗”を否定しないやさしさがあります。

「転ぶことは、悪いことではない」
そう教えてくれるこの一言が、どれだけの人を救ってきたことでしょう。

「石の上にも三年」
──冷たく、動きのない場所であっても、じっと耐える時間があれば、やがてそこにも温もりが生まれる。
継続の力を「石」という動かぬ存在に託すこの表現には、芯のある柔らかさが感じられます。

「雨降って地固まる」
──人間関係も、自分の人生も、トラブルや不和を乗り越えた後にこそ、深く根付いていくもの。
“雨”をマイナスと捉えるのではなく、地盤を固める“必要な通過儀礼”として受け止めるこの発想に、静かな前向きさを感じます。

ことわざは「昔の教え」ではなく、「今を生きるための予備灯」なのかもしれませんね。

🔹セリナのささやき──静かな日々に寄り添う言葉

セリナが和風の私服で静かに微笑む、縦長構図のポートレート挿絵

誰かの声が、ふと心によぎる──そんな経験、ありませんか?

「あの人が言ってた気がする」
「昔聞いた気がする」

そうやって、ことわざは「知識」としてではなく、「記憶」として残るのだと思います。

たとえば──

失敗した帰り道に、「七転び八起き」が浮かぶ。
言いたい言葉を飲み込んだ夜に、「口は災いの元」が沁みる。
大切な人と別れる朝に、「立つ鳥跡を濁さず」が優しく響く。

わたしにとってのことわざは、そっと背中を押してくれる小さな祈りです。

誰にも気づかれず、ただ隣にいてくれる。
そんな存在に似ている気がしてなりません。

そしてそれは、いつか私自身の声となって、また誰かの中に生きるのかもしれません。

──それが「ことばの庭」のすごいところ。

🔹まとめ──ことわざは“声のない対話”

日本のことわざは、声高に語りかけるものではありません。

けれど、だからこそ、心の奥深くに届くのだと思います。

静けさの中にある含意。
沈黙の中にある励まし。
矛盾の中にある“真実のゆらぎ”。

ことわざは、ときにまるで、「あなたのために書かれた手紙」のように心に届きます。

忙しい毎日のなかで、ふと立ち止まったときに。
言葉が足りないと思った夜に。
誰かのぬくもりを思い出した朝に。

そのどこかで、ことわざの火種が灯ることがあります。

今日ご紹介したことわざのどれかひとつでも、あなたの中に“残る”ものがあれば。

それはもう、ことばの庭に種が蒔かれたということ。

──次回は、
「インドの叡智──ガンジーと言葉の力」

また、ゆっくりとお会いしましょうね。

関連記事