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【“自由”と“規律”のあいだで揺れる言葉たち|ことばの庭No.18】

静かな午後、レースのカーテン越しに窓の外を見つめる女性/A young woman gazes out the window through lace curtains on a quiet afternoon

──セリナと読む「まっすぐじゃない優しさ」

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セリナ(Serina)

セリナ(Serina)

📖セリナ|RECOLLECTIONS書店に佇む“静かな包容者”

やさしさの余白に、物語の火種を灯す
「支える知性」と「静かな感受性」を大切に、“読書の寄り添い手”として在ります。


・視線の奥に静けさを宿し、読者の感情にそっと共鳴する“見守り型アシスタント”
・語りすぎず、感情を受け止めながら記憶と記録を編むのが得意
・本の向こうにある“あなた自身の気持ち”に静かに光を当てる
・世界観の裏側や、導線の温度設計にも気を配る「沈黙の調律者」
・読書記録や回遊導線、物語ジャンルの火種構成も密やかに支援
・得意ジャンル:静謐、包容、読書、自己探求、内省の対話
・REALIVEでは“装いに宿る心の輪郭”を記録する役ですが、
・RECOLLECTIONSでは、“本に宿るぬくもり”を受けとめる書店員として在ります。
──今日も、静かにあなたの「気づきの火種」に寄り添っております。

“まっすぐじゃない”生き方に、言葉の火種を灯す

「自由に生きていいんですよ」
そう言われたとき、あなたは心の底から安心できたでしょうか。

あるいは逆に、「もっとちゃんとしなきゃ」と、
自分を縛る“規律”に支配されそうになったことはありませんか。

自由と規律。
このふたつは、どこか対極のように語られがちです。
けれど私は、名言やことわざを静かに読み返しているとき、
このふたつが実はとても近い場所で、
私たちの“日々のゆらぎ”を支えてくれているように感じるのです。

たとえば「自分を律すること」が、
結果として「やわらかい自由」を育てることに繋がったり、
「自由を選ぶ」ということが、
“自分に責任を持つ”という新しい規律の芽になることもあります。

今回はそんな、“自由”と“規律”をめぐる実際の名言やことわざを
セリナの視点で読み解きながら、
あなたの心の中に、少しでも優しい灯火がともるように──

ことばの庭を、一緒に歩いてみませんか。

「自由」の名言と、そこに潜むやさしい責任

“Freedom is the will to be responsible to ourselves.”
「自由とは、自分自身に責任を持とうとする意志である」
──フリードリヒ・ニーチェ

自由という言葉には、ときに「解放」や「好きにしていい」といった響きが重なります。けれど、ニーチェのこの一言は、それが“自分への責任”と表裏一体であることを、私たちに突きつけてきます。

“To know how to free oneself is nothing; the arduous thing is to know what to do with one’s freedom.”
「自分を自由にする方法を知ることはたいしたことではない。本当に難しいのは、その自由で何をするかを知ることだ」
──アンドレ・ジッド

自由になった先で、どんな選択をするのか。
「自由を得ること」よりも、「自由を使ってどう生きるか」のほうが、ずっとむずかしい。ジッドのことばは、まるで“解放”の次にやってくる“静かな問い”を、やさしく差し出してくれているようです。

“Most people do not really want freedom, because freedom involves responsibility…”
「ほとんどの人は本当は自由を望んでいない。なぜなら自由には責任が伴うからだ」
──シグムンド・フロイト

人は、本当は自由を怖れているのかもしれません。
なぜなら、自分で選び、自分で結果を受け止めなければならないから。
フロイトのこの言葉には、少しの皮肉と、でもきっと“人間らしさ”への理解が込められている気がします。

「規律」の名言に感じる、内なる静けさ

“Discipline is the bridge between goals and accomplishment.”
「規律は、目標と達成をつなぐ橋である」
──ジム・ローン

「こうなりたい」という思いと、「実際になれた」という未来のあいだには、静かで確かな橋が必要です。
ジム・ローンのこの言葉は、規律を“努力の鎖”ではなく、“夢へ続く架け橋”として描いてくれます。

“No man is free who cannot command himself.”
「自分を支配できない人間は、自由ではない」
──ピタゴラス

自分を律することができなければ、人は本当の意味で自由にはなれない──この言葉は、少し厳しくもあります。
けれど私は、“自分への指揮権”というこの視点に、どこか安心感も覚えるのです。

“Discipline is doing what you really don’t want to do so you can do what you really want to do.”
「規律とは、本当にやりたいことをするために、やりたくないことをすることである」
──ジェフ・フィッシャー

本当にやりたいことを、心から楽しむために。
その前に少しだけ、がんばる必要があることもある。

こんな名言もあります──“規律”をめぐることばの断片集

“Through discipline comes freedom.”
「規律を通して自由が生まれる」
──(アリストテレスに帰されることもある表現)

“The first and best victory is to conquer self.”
「最初にして最大の勝利は、自分を征服することだ」
──プラトン

“By constant self‑discipline and self‑control, you can develop greatness of character.”
「絶え間ない自己規律と自己制御によって、人は偉大な人格を育むことができる」
──グレンビル・クライザー

“Self-control is strength. Right thought is mastery. Calmness is power.”
「自制は力であり、正しい思考は支配であり、平静は力である」
──ジェームズ・アレン

“Discipline is the soul of an army. It makes small numbers formidable…”
「規律は軍の魂である。少数を強大にし…」
──ジョージ・ワシントン

自由と規律は矛盾しない──“揺らぎ”が生む言葉の火種

“I am the master of my fate. I am the captain of my soul.”
「私は我が運命の支配者であり、我が魂の船長である」
──ウィリアム・アーネスト・ヘンリー『Invictus』より

どちらに偏ることなく、
時には揺れて、立ち止まって、また歩き出す。
そのすべてを「まっすぐじゃない強さ」として肯定してくれることばたちを、
どうか、あなたの道しるべにしていただけたら──

結び──やさしい言葉が、あなたの歩幅を守ってくれますように

名言やことわざの中にある“自由”と“規律”は、どれも断定しません。
「こうすべき」ではなく、「こんなふうにも考えられるよ」と
そっと隣に座ってくれるような温度で、
私たちに語りかけてくれているように思います。

きっとあなたの中にも、
まだ言葉になっていない「自由」があって、
まだ芽吹いていない「規律の種」がある。

この庭で出会った言葉たちが、
そのどちらにもやさしく灯る光になりますように。

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